TMオフィス地方の魅力発掘プロジェクト
里山まるごと博物館化計画

 里山を展示室に見立てて、広大な地域をまるごとミュージアムにするという日本で初めてのプロジェクトが動き出した。
 舞台は兵庫県南東部。宝塚市、三田市、川西市、伊丹市、猪名川町の4市1町に及ぶ「阪神北(北摂)」と呼ばれる地域で、全国でも珍しく都市の近くに数多くの里山を抱く。その里山を生かして地域全体を「北摂里山博物館」(仮称)として整備する構想だ。
「里山とは人間の生活と一体になった山のことをいいます。この北摂地域は里山の宝庫で、すばらしい文化が根づいています。その文化に地元の人々はもちろん、観光客にも親しんでもらおうと考えています」と、プロジェクトを立ち上げた兵庫県阪神北県民局長の森哲男さん(59)。長年にわたって県の観光や広報に携わった経験から、この計画を思いついた。

三田市の兵庫県立有馬富士公園内に再生された田園風景。春には菜の花が咲き乱れ、里山の自然が満喫できる(写真は昨年4月)

 「たとえば北摂里山大学≠ニいう里山の文化を知る仕組みをつくったら、それぞれの里山を楽しむプログラムができます。気軽にウォーキングを楽しんだり、子供たちに昆虫採集や植物採集の機会を提供するなど、里山を楽しむ方法はたくさんあります」と話す。
「里山」という言葉からは、森林や段々畑、小川など、手つかずの日本の原風景を連想しがちだが、阪神北地域の里山は少し趣が異なる。
 もちろん自然は豊富だが、手入れの行き届いた公園や、美しく整備された遊歩道、小粋なレストランなどが点在し、どこかオシャレな雰囲気が漂う。大阪や神戸の大都市に隣接し、アクセスも便利なことから住宅も多い。里山というより郊外のリゾート≠ニいったほうが実際のイメージに近い。
 また、高級住宅街として知られる芦屋市や西宮市にも近く、上品で落ち着いた生活空間がこの地域にも息づいている。そんな独特の環境を考えると、「里山をミュージアムに」という構想も現実味を帯びてくる。
「まだ手入れされていない地域も多いので、これから美しい公園を増やしていきたいと考えています。子供たちが伸び伸びと遊べる安全な環境を整えながら、里山のことを学んだり、自然を大切にする心を育んでもらえればと願っています」
 阪神北県民局は4月に「北摂里山博物館運営協議会」を立ち上げる。2013年度をめどにNPOなど法人組織に移行する計画で、現在、協議会を引っ張って「北摂里山大学」や「里山フォーラム」を具体化し、PR活動を推進する役目を担う事務局長を公募している。
「地域の活性化やにぎわいづくりの企画や活動に熱意をもち、リーダーシップのある精力的な方に来てほしい」と森局長。里山が菜の花で美しく染まるころ、日本初の壮大な計画がいよいよ動き出す。


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